白亜紀の酸素濃度が恐竜の巨大化に与えた驚きの理由｜現代との違いと進化の謎を解説

2025年6月17日2025年6月19日

白亜紀の酸素濃度とは？現代との違いを徹底解説

白亜紀は恐竜たちが地球を闊歩していた時代。その大気環境は、現在の私たちの世界とはかなり異なっていました。特に「酸素濃度」は、恐竜の進化や絶滅にも大きく関係しています。ここでは、白亜紀の「空気」を紐解きながら、現代との違いをわかりやすく解説します。

白亜紀（約1億4500万年前〜6600万年前）の大気の特徴は、「高温多湿」と「酸素濃度の変動」です。大陸の配置や火山活動、海面の高さも現代と大きく違っていました。

白亜紀の主な大気環境

白亜紀は、今よりも温暖な気候と高い二酸化炭素濃度が特徴。酸素濃度は時期や地域で大きく変動しており、現代の私たちの呼吸環境とはかなり違っていたのです。

酸素濃度が上下した理由は、単純じゃありません。いくつもの地球規模の要素が絡み合っています。

酸素濃度変動の主な要因

特に「光合成を行う植物の増減」は決定的。白亜紀中期には森林が地球を覆い、酸素濃度が一時的に高まったと考えられています。しかし、火山活動が活発になると酸素消費が進み、濃度が下がることもありました。

では、具体的にどれくらい違ったのか？数値で比較すると、その差は一目瞭然です。

このように、白亜紀中期のピーク時には現在よりも5％ほど高い酸素濃度だったとされています。ただし、時期や地域によるバラつきも大きく、後期には現代とほぼ同じレベルに落ち着きました。酸素濃度のわずかな変化でも、生物の進化や絶滅に大きな影響を与えることがわかっています。

恐竜たちがあれほど巨大化できたのは、大気環境、特に酸素濃度と無縁ではありません。酸素の多さが、彼らの体の大きさや生態をどのように形づくったのか――科学的な視点で紐解いてみましょう。

白亜紀の中期、酸素濃度がピークに達したころ、実は「超巨大恐竜」が登場しています。なぜ酸素濃度が高いと巨大化できるのか？そこには「呼吸効率」と「代謝」が関係しています。

たとえば、アルゼンチノサウルスやパタゴティタンなど、体長30m超えの竜脚類は、ちょうど酸素濃度が高い時代に現れています。現代の低酸素環境では、あれほどの巨体を維持するのは難しいでしょう。

酸素濃度の高さは、恐竜の行動パターンにも想像以上の影響を与えていました。

また、酸素濃度が下がると、恐竜たちは活動量を下げるなどして適応していた可能性があります。酸素の変動は、恐竜の「暮らし方」そのものをダイナミックに変えていたわけです。

恐竜だけでなく、当時の生態系全体も酸素濃度の恩恵や影響を受けていました。

白亜紀は、酸素濃度の上昇により生物が「巨大化」しやすくなった時期です。しかし、その一方で、酸素濃度が下がると特定の大型生物が絶滅するなど、生態系のバランスにダイレクトな影響を与えていました。

酸素濃度の変化は、地球全体の生態系や環境そのものを大きく動かしました。植物・海洋・大量絶滅――そのダイナミックなつながりを見ていきましょう。

白亜紀は「被子植物（花を咲かせる植物）」が爆発的に進化した時代。これが酸素濃度の変動とも密接にリンクしています。

つまり、植物の進化が酸素濃度を押し上げ、それがまた生物の進化に拍車をかけるという「進化の好循環」が生まれていたのです。

海の中でも、酸素濃度の変動は大きな事件をもたらしました。白亜紀には「海洋無酸素事変（OAE）」と呼ばれる現象が複数回発生しています。

海洋の酸素濃度低下は、地上だけでなく海の生態系にも激震をもたらしていたことがわかります。

酸素濃度の変動は、大量絶滅とも密接に関係しています。白亜紀末期の「恐竜絶滅」も、酸素濃度の低下が引き金の一つとなった可能性が指摘されています。

絶滅事件	酸素濃度との関連
白亜紀末大量絶滅	隕石衝突や火山活動による酸素の急減が生態系を崩壊させた
海洋無酸素事変（OAE）	海洋酸素枯渇で大量の海洋生物が絶滅

酸素濃度の低下は、巨大生物が生き延びるには厳しい環境変化となり、地球の歴史を大きく塗り替える出来事を引き起こしてきたのです。