エリマキトカゲブームとは?昭和の社会現象を徹底解説
エリマキトカゲブームは、1980年代の日本で巻き起こった一大社会現象です。ただの爬虫類がここまで人々を夢中にさせた背景には、テレビと広告、そして昭和ならではの「熱狂の構造」がありました。当時を知る人も、知らない人も、あのブームの裏側を一緒に探ってみましょう。
エリマキトカゲの特徴と人気の理由
エリマキトカゲ(学名:Chlamydosaurus kingii)は、オーストラリア原産の中型トカゲ。最大の特徴は、敵に出会ったときに首の周りの大きなフリル(エリマキ)を広げて威嚇する姿です。昭和の日本でこのトカゲが突如脚光を浴びたのには、いくつか面白い理由があるんです。
【エリマキトカゲの特徴まとめ】
特徴 | 詳細 |
---|---|
フリル展開 | 敵や驚いたときに首のフリルを広げる(最大30cm以上!) |
二足歩行 | 威嚇時に後ろ足だけで立ち上がり、走る姿が「恐竜みたい」と話題に |
生息地 | 主にオーストラリア北部、パプアニューギニア |
体長 | 約70〜90cm(尾を含む) |
実はこの「二足歩行で走る」姿が、昭和の子どもたちの恐竜イメージとピタリ一致しました。ちょうど「恐竜=二足歩行で走る」という刷り込みが強かった時代です。
また、首のフリルを広げる姿はインパクト絶大。動物番組などで初めてその姿が紹介されるや否や、子どもから大人まで「なんだこの生き物は!?」と釘付け。
さらに、見た目だけでなく「普段は大人しいけど、いざという時に大変身する」というギャップも人気の要素でした。
【人気の理由・意外なポイント】
- 急に恐竜っぽくなる“変身感”
- 当時の日本ではまだ珍しい“エキゾチック感”
- コミカルに走る姿が「かわいい」と話題に
面白いのは、現地オーストラリアではそれほど人気者でもなかったのに、日本でだけ爆発的にブレイクしたこと。やはり昭和の日本の空気が、「未知」「変身」「恐竜っぽいもの」へのワクワク感を強く求めていた証拠でしょう。
テレビCMが生んだエリマキトカゲブームの舞台裏
では、なぜ日本中がエリマキトカゲに熱狂したのか? その最大のきっかけは、1984年に放送された自動車メーカー「三菱ミラージュ」のテレビCMです。このCMでエリマキトカゲが二足で走る姿が映し出され、そのユニークな動きが一夜にしてお茶の間の話題を席巻しました。
【CMのインパクトを生んだ要素】
- 当時としては珍しい“動物主役”の車CM
- 恐竜映画ブームの最中、「生きた恐竜」に見えるインパクト
- スローモーションやカメラワークによる“ドラマチックな演出”
CMの放送直後から問い合わせが殺到し、動物園やペットショップにも人が押しかける事態に。
テレビの影響力が絶大だった昭和だからこそ、エリマキトカゲは一気に時の“スター”となりました。
【CMブームの舞台裏・面白ネタ】
- 実はCM撮影に使われたエリマキトカゲ、驚かせるためにスタッフ総出で大騒ぎだったとか。
- 撮影後、出演した個体は“日本一有名なトカゲ”として動物園で展示され、連日長蛇の列!
このブーム、現代で言う「バズる」現象の先駆けでした。
テレビが一つの生き物をここまで押し上げた例は、なかなか他にありません。
グッズ・商品展開と社会へのインパクト
ブームの爆発に合わせて、ありとあらゆるエリマキトカゲ関連グッズが登場しました。
キャラクターグッズ、ぬいぐるみ、文房具、果てはお菓子のおまけやTシャツまで! ここには、昭和の“流行消費”の底力が色濃く表れています。
【主なエリマキトカゲ商品展開】
ジャンル | 代表的な商品例 | メモ |
---|---|---|
おもちゃ | プルバック走行のフィギュア | フリルがパカッと開くギミック付き |
文房具 | 消しゴム、ノート、シール | 学校で大流行 |
ファッション | Tシャツ、帽子、バッグ | 子供向けだけでなく大人用も |
食品 | チョコ、スナック、カード付き | “おまけ”商法が大ヒット |
実際、当時の子どもたちの筆箱には必ずと言っていいほどエリマキトカゲグッズが入っていましたし、学級新聞のイラストもエリマキトカゲだらけ。
「恐竜ブーム」「未知の生き物好き」という昭和カルチャーの潮流と、グッズの大量展開が見事にマッチして加速しました。
【社会への影響・面白トピック】
- 動物園ではエリマキトカゲの展示が一大イベントに(入園者数も急増)。
- ペットショップでの輸入希望も殺到し、国内での飼育ブームが勃発。
- 小学校の理科教材にもエリマキトカゲの特集ページが登場。
こうした現象は、まさに“国民的ムーブメント”。消費・教育・ファッションまで、あらゆる面でエリマキトカゲが「昭和の顔」になった瞬間でした。
まとめ:エリマキトカゲブームが映した昭和カルチャーの熱狂
エリマキトカゲブームは、単なる“変わった動物”人気にとどまらず、昭和の日本が持っていた「新しさ」や「未知」への情熱、そしてテレビメディアの爆発的な影響力を象徴しています。
今思えば、SNSもネットもない時代に、たった一つのテレビCMが日本中を熱狂させ、子どもから大人までが一つの生き物を愛したあの空気。そのエネルギーと好奇心の強さは、まさに昭和カルチャーの真骨頂でした。
エリマキトカゲは、私たちに「ちょっとしたきっかけで世界が変わるワクワク感」を教えてくれた存在だったのです。